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「どうでもいいいけど、この会話三回目」
七夕が妊娠する度だしね。
最初はそりゃ、あれやこれやと言いくるめて慰めもしたけど、もうイヤ。
「藍河がこの世にいる限り何度でもこの会話続けてやる!」
「つまり、愚痴りに来る、と?」
「もちろんよ!」
「…だ、そうよ」
力む月海を指差し、うんざりした表情を雷に向ける。
雷は『え、マジ?』みたいな顔で目をさっきよりも見開いた。
たぶんその反応、間違ってないと思う。
あたしはもう気にもしてないからさぁ。
だって、小学校の頃から聞いてれば、ねぇ?
「……あぁ、あげはさん、僕何か食べたいです」
あ、逃げやがった。
まだまだ甘ちゃんね。
この先もまだあるかもしれないことなのに、逃げてちゃダメだと思うんだけど。
「いつ帰って来るかわかんないから、本日食材はありません」
「僕カレー希望です」
「聞けよ、ヒトの話」
しかもカレーかよ。
食材ないって言ってるのに。
確かに真夏に食べるカレーは美味しいけどさ。
「……あ~、なんかバカらしくなってきた、帰る」
軽く罵られた感じがしたのは気のせいじゃないハズ。
まぁ確かにそうだなって思うから、別にいいんだけど。
気にすることじゃない。
「じゃあ、また来るわ」
「一緒に出るよ」
「あげはさん?」
「雷も来る?お買い物」
「行きます」
イヤ、そこは来なくてよかったんだけどな。
スッキリして意気揚々と帰る月海と共にマンションを出た。
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