living.3

14/14

1065人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
「どうでもいいいけど、この会話三回目」 七夕が妊娠する度だしね。 最初はそりゃ、あれやこれやと言いくるめて慰めもしたけど、もうイヤ。 「藍河がこの世にいる限り何度でもこの会話続けてやる!」 「つまり、愚痴りに来る、と?」 「もちろんよ!」 「…だ、そうよ」 力む月海を指差し、うんざりした表情を雷に向ける。 雷は『え、マジ?』みたいな顔で目をさっきよりも見開いた。 たぶんその反応、間違ってないと思う。 あたしはもう気にもしてないからさぁ。 だって、小学校の頃から聞いてれば、ねぇ? 「……あぁ、あげはさん、僕何か食べたいです」 あ、逃げやがった。 まだまだ甘ちゃんね。 この先もまだあるかもしれないことなのに、逃げてちゃダメだと思うんだけど。 「いつ帰って来るかわかんないから、本日食材はありません」 「僕カレー希望です」 「聞けよ、ヒトの話」 しかもカレーかよ。 食材ないって言ってるのに。 確かに真夏に食べるカレーは美味しいけどさ。 「……あ~、なんかバカらしくなってきた、帰る」 軽く罵られた感じがしたのは気のせいじゃないハズ。 まぁ確かにそうだなって思うから、別にいいんだけど。 気にすることじゃない。 「じゃあ、また来るわ」 「一緒に出るよ」 「あげはさん?」 「雷も来る?お買い物」 「行きます」 イヤ、そこは来なくてよかったんだけどな。 スッキリして意気揚々と帰る月海と共にマンションを出た。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1065人が本棚に入れています
本棚に追加