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「……お金はありがたかったけど、二度と外で渡さないで」
「はい」
「荷物を持つって認識があるなら、さっき玄関先でもしてほしかったわ」
さっき?玄関先?
「確かにアレはあたしの私物だからそんなこと求めてなかったけど、両手に荷物を持ってたんだからカギくらい開けてもよかったわよね」
…あぁ、あの時。
そういえば、マンガたくさんだった。
「はい、ごめんなさい」
全て俺の配慮が足りなかった、と。
「半分ウソだけど」
「……はぁ?」
「荷物のこともカギのことも別になんとも思ってない。買い物袋を持った時に、そういうことできるヒトなんだってことはわかったし」
ってことは、レジ前で財布を渡したことはダメだったと。
難しいヒトだなぁ。
このヒトのことを知るのは至難の業、なのかもしれない。
「あぁ、あと」
「まだ何か?」
「普通に話せば?」
「……はい?」
切り終わったニンジンが鍋に投入されているのを見てたら反応が遅れた。
「ココ、家なんだからさ、作らなくていいんじゃない?あ、他人のあたしがいるから作ってるのか」
……まさか、気づかれてたなんて思ってもいなくて。
楽しそうに笑うソレはどういう意味なんだろう。
このまま半年を過ごすつもりでいた。
ぜったいに気づかれることはないと、思っていたのに……
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