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お行儀よく手を合わせいただきますと言ったと思ったら、すっごい勢いで食べ始める。
おかわりあるのに。
「今日はお仕事?」
返事は期待してなかった。
案の定、ニ人は同時にうなずくだけ。
「帰りは?」
「あ~…明日?」
答えてくれるのはいいけど、なんで疑問?
こっちが聞いたんですけど。
「じゃあ、帰宅時間わかったら連絡して」
電話番号をサッと書き、ほぼ平らげてる雷に渡す。
早くない?
もうちょっと味わって食べてよ。
「おかわり」
ニンジン入れてやろうかしら。
雷の分には入れてなかったのよね。
気づいてるかどうかわかんないけど。
「寺越さんは?」
「大丈夫です、ごちそうさまでした」
食べるの早いってば。
ペロリと平らげられたお皿を見て呆れるしかない。
なんで男のヒトって食べるの早いの?
「おいしかったです」
「ありがとうございます」
おかわりを雷の前に置いてお礼を言えば、なぜか雷は不貞腐れた表情。
何?ニンジン入れてないのに。
隠れたところにでも入ってたかしら?
寺越さんの食べ終わった食器を片づけようとすれば、こっちはしてやったりみたいな顔してる。
だから、何?
「雷?」
「……なんでもない。北馬さんのことなんて気にしなくていい」
ほくば?
あぁ、寺越さんの名前。
てか、気にしなくていいって言われても、すっごい気になるんですけど。
気にしてと言わんばかりの顔してるのに。
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