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「そうですよ、気になさらないでください。言いたかったことを先に言われて不貞腐れてるだけです」
言いたかったこと?
それって…
「バカね。この先いつでも言えることでしょう」
もう二度とご飯を作らないわけじゃない。
おいしい、なんていつでも言えること。
とりあえず、半年は。
「……ソーデスネ」
いや、だからね?
あぁ…もういいや、めんどくさい。
「らぁい?言いたいことがあるなら言いなさい?」
ニッコリと笑みを浮かべ覗き込めば、観念したような表情。
周りに言わせれば、あたしのこの笑顔は怖いらしい。
そんなつもりないし、どこが怖いのかわかんないんだけど。
「……誰よりも先においしいって言いたかっただけ」
なに、それ。
あなた、彼氏でもなんでもないし、ただの同居人じゃない。
「クソ…なんで昨日寝たんだよ…」
昨日の自分に悪態をつく雷は、あぁ…あたしをオトすんだっけ?
どうオトすのか知んないけど、コレもその一つだと取っておこう。
もう、なんか聞くのもめんどくさいし。
スルー、ということで。
「お仕事何時からですかー?」
「もう出る」
立ち上がる雷はおかわりも素早く平らげたよう。
そんなに早く食べたら消化に悪いのに。
てか、ギリギリの時間だったんなら食べなくてもよくない?
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