living.5

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「ごちそうさま、おいしかった」 食器を持って来たついでに、耳元で小さくつぶやく。 ただ、そんなことで顔を赤らめることもなければ、動揺もしない。 慣れてる、とかじゃなくて。 なんとも思ってないヒトにやられても、ひとっつも心が動かないということ。 それよりも、食器を片づけることができることに驚いた。 失礼かもだけど、そんなことしそうにないヒトに見える。 「お仕事、がんばって?」 「……あぁ、はい、いってきます」 なんだか複雑そうな顔をチラッと見せて。 間違ったこと言った? 言ってないと思うけど。 「いってらっしゃい」 洗い物をしながら言うと、ヒラッと右手を振って返してくる。 「ではあげはさん、帰りはきちんと連絡させますね」 「あ、はい、お気をつけて」 寺越さんに名前呼ばれるのって、慣れてないからドッキドキ。 イヤ、雷に呼ばれるのも、まだ慣れてないんだけど。 それよりもなんでって、このヒトってばチョー声がイイんです。 しかも顔もイイから、雷とはまた違ったイイ…オトナの男の魅力っていうものが… …あぁ、ダメだ、朝方までマンガ読んでたから思考がソッチになってる。 洗濯物干したら寝ようかな。 お客さん来てる前で洗濯物干せなかったから、ビミョーな時間になっちゃって。 まぁ、夏だし乾くだろうけど。
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