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「ごちそうさま、おいしかった」
食器を持って来たついでに、耳元で小さくつぶやく。
ただ、そんなことで顔を赤らめることもなければ、動揺もしない。
慣れてる、とかじゃなくて。
なんとも思ってないヒトにやられても、ひとっつも心が動かないということ。
それよりも、食器を片づけることができることに驚いた。
失礼かもだけど、そんなことしそうにないヒトに見える。
「お仕事、がんばって?」
「……あぁ、はい、いってきます」
なんだか複雑そうな顔をチラッと見せて。
間違ったこと言った?
言ってないと思うけど。
「いってらっしゃい」
洗い物をしながら言うと、ヒラッと右手を振って返してくる。
「ではあげはさん、帰りはきちんと連絡させますね」
「あ、はい、お気をつけて」
寺越さんに名前呼ばれるのって、慣れてないからドッキドキ。
イヤ、雷に呼ばれるのも、まだ慣れてないんだけど。
それよりもなんでって、このヒトってばチョー声がイイんです。
しかも顔もイイから、雷とはまた違ったイイ…オトナの男の魅力っていうものが…
…あぁ、ダメだ、朝方までマンガ読んでたから思考がソッチになってる。
洗濯物干したら寝ようかな。
お客さん来てる前で洗濯物干せなかったから、ビミョーな時間になっちゃって。
まぁ、夏だし乾くだろうけど。
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