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雷の名前を出せば、きっと一発でわかるだろう。
妊婦に興奮されても困るから、ここはひとまず秘密な方向で。
月海が話してたら知らないけど。
それに、半年後にはサヨナラ、なヒトだしね。
わざわざ言わなくてもいいでしょう。
「へ~、そうなんだ~」
「ところで、あんたのダンナさんはここに来てること知ってるわけ?」
あれこれ聞かれる前にサラッと話題転換。
聞かれて困ることはなんにもないんだけど。
言わなきゃいけないことでもないし。
「月海ちゃんに怒られてたから黙って出て来たよ」
「……ソレはめっちゃ笑顔で言うことじゃなくない?」
妊婦が何も言わずに出て来るのはやめようよ。
ただでさえもあの兄妹、七夕が絡むとウザいんだから。
「早く帰った方がよくない?」
仕事を紹介してくれたことはありがたいけど、月海達に乗り込んで来られるかもしれないから若干…イヤ、けっこーメイワク。
ここに来ることを言ってたなら、少しだけ話は別だけど。
ホントに少しだけ。
「うん、帰るよ~」
「一緒に行こうか?」
悪阻がひどいとわざわざ言ってくるほどだから、帰り道に何かあったら大変。
そう思って言ったんだけど、七夕はいつもの笑顔で首を横に振る。
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