living.6

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「…聞いてる?」 「いいえ」 素直に聞いてなかったことを告げれば、案の定返ってきたのは深いため息。 「連絡、できなくてごめんね?」 「……もういいわよ」 あ、諦めてくれた。 やっぱり素直に謝ることは大切。 というか、これ以上はめんどくさくなったに違いない。 「その変わり…」 「え?」 立ち上がってもいいだろうかと、彼女を見た瞬間。 何か思いついたようでニヤッと笑った。 …イヤな予感… 「バツとして今から実家に一緒に行ってもらうから。げーのーじん五十嵐雷として」 「──はぁ?」 イヤ、ちょっ、ソレどういうこと? なんのバツ…や、連絡しなかったことに対してだろうけど。 「帰って来たってことは今日はお仕事もうないんでしょ?」 「仕事は、終わった、けど…えぇ?」 話が飛び過ぎて理解不能。 結婚とか、そんなことするつもりもないのに、遊びに行くわけじゃない相手の実家に行くというのは… え?あげはさん、俺と結婚したいの? 「雷の大ファンの母が、今か今かと待ちわびて催促の電話がかかってきました」 「催促って…俺、モノ?」 「ある意味?」 立ち上がり苦い表情になる俺に、彼女はクスクスと楽しそうに笑う。 その笑顔を見て、もう機嫌はよくなったようで。 とりあえず、さっき考えたことは関係なかった。
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