living.6

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「五十嵐雷、として?」 「おスキなように?」 え、何? やっぱりさっき言ってたのって、ただのイヤガラセ? 玄関を出る俺は苦難の表情を浮かべていたようで、ソレを見た彼女はまたまた楽しそうに笑う。 「あたしの機嫌も直ったことだし?」 あー、そっか、やっぱただのイヤガラセか。 このヒトの機嫌を損ねないようにしよう。 でないと、実家に向かってる途中でまた同じことを言いかねない。 「ありがとうございます」 「なんのお礼?」 エレベーターに乗り込んでそう言えば、キョトンとして小首を傾げる仕草。 ……カワイイですね。 無意識だろうその仕草に小さく鼓動が跳ねて。 「あー…、なんか言いたくなっただけ」 「そ?」 わからない自分の理性と格闘しながら、少しの動揺を隠しつつ。 「この間も思ったけど、暑くない?」 外に出れば真夏の日差しが照りつけ、そろそろ夕方になるっていうのにまだまだ暑い。 なのに、隣を歩くヒトは長袖。 というか、長袖以外の服装って見たことないかも? 「日焼けはお肌に悪いのよ」 「ふ~ん」 女って大変だな。 でもよく見なくてもスッピンですよね? そこが一番日焼けしたくないところじゃ? まぁ、対して一緒にいるわけじゃない俺にホントのことなんて、言うわけないか。
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