living.6

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「あげははきっと一時間は部屋から出て来ないわよ」 思考を読まれたのか表情を見たのかそんなことを言われる。 緊張がなくなったわけじゃないから、一時間もこの状況…ムリ! 「どう?あげはとはやっていけそう?」 くると思ったその質問。 コーヒーを持って来て、向かい側に座るなり言ってくる。 きっとどこの親だって気になることなんだろう。 「すみません、なかなか家に帰れなくて、いつもあげはさんを一人にしてしまってるんです」 けれどウソを言ったってすぐにバレてしまうから。 だから素直に、正直に話す。 一緒に住むことになったのに、ほとんど家にいなくて寂しい思いをさせてるんじゃないかとは、ホントに思っていたことだから。 「人気者なのだからソレは仕方ないわ。あの子は別に一人でも大丈夫だろうし」 「そうでしょうか…」 母親が言うのだからそうなんだろうけど… 今の暮らしはしたくてしてるわけじゃない。 ほぼ強制的に始めた生活だから。 表に出すことはしなくても寂しいはず。 怒ったりはすぐするけど、そういう感情はまだ見たことなくて。 「なるべくなら家に帰りたいのですけど…」 「あげはに気を遣ってくれてるのね」 ニコニコと言われるけれど、こっちは苦笑いを浮かべるしかない。 口先だけならなんとでも言える。 今までだってそうしてきた、のに…… なぜだろう… 罪悪感が、胸をしめつける──
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