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「気を…遣えているかはわからないですけど…」
「あげはを見てればわかるわ。普段通りだから」
微笑むソレがさすが親子。
ソックリで少しだけドキッとする。
そういう感情はなくてもこの親子、美人だから。
「それならいいのですが」
「あの子をよろしくね」
何も…言えなかった。
きっと、お互い半年経てばサヨナラするんだと思ってる。
自信たっぷりにオトすと断言したけれど、今の状況とあげはさんの性格からして難しいと思うんだ。
オトすことを諦めたわけじゃない。
だけど、ソレができた時、俺はどんな気持ちになってるんだろう。
「だから、婚姻届出したら教えてね?」
「………はい?」
「あら?この間あげはに渡したのに、知らない?」
「……ちょっと、あげはさんと話してきます」
ニ階の一番奥の部屋よ~という声を聞きながらリビングを出る。
言われた部屋に行けばドアは開いていて、まず目に飛び込んできたのは壁一面のマンガ。
すっげ…どんだけあるんだよ。
なんて感心してる場合じゃない。
「あげはさん」
「なぁに?」
マンガに埋もれこっちを見もしないあげはさんは幸せそう。
幸せな顔をしてるのはマンガを読んでるからであって。
そんな顔、初めて見た。
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