living.6

10/11
前へ
/165ページ
次へ
「気を…遣えているかはわからないですけど…」 「あげはを見てればわかるわ。普段通りだから」 微笑むソレがさすが親子。 ソックリで少しだけドキッとする。 そういう感情はなくてもこの親子、美人だから。 「それならいいのですが」 「あの子をよろしくね」 何も…言えなかった。 きっと、お互い半年経てばサヨナラするんだと思ってる。 自信たっぷりにオトすと断言したけれど、今の状況とあげはさんの性格からして難しいと思うんだ。 オトすことを諦めたわけじゃない。 だけど、ソレができた時、俺はどんな気持ちになってるんだろう。 「だから、婚姻届出したら教えてね?」 「………はい?」 「あら?この間あげはに渡したのに、知らない?」 「……ちょっと、あげはさんと話してきます」 ニ階の一番奥の部屋よ~という声を聞きながらリビングを出る。 言われた部屋に行けばドアは開いていて、まず目に飛び込んできたのは壁一面のマンガ。 すっげ…どんだけあるんだよ。 なんて感心してる場合じゃない。 「あげはさん」 「なぁに?」 マンガに埋もれこっちを見もしないあげはさんは幸せそう。 幸せな顔をしてるのはマンガを読んでるからであって。 そんな顔、初めて見た。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1066人が本棚に入れています
本棚に追加