living.6

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「婚姻届って何」 率直に聞けば顔を上げて、キョトンとしてる。 イヤ、そこでそんなカワイイ顔されてもね? 「──あぁ、どこ置いたっけ?」 首を傾げるあげはさんの前に座り、持っているマンガを取り上げる。 「あ!」 「あげはさん?俺にも係わることはちゃんと言ってくんない?」 ニッコリと笑って言えば、なぜか不貞腐れた表情。 ソレはこっちがする表情だよ。 「だって…月海が来るから」 「つぐ、みさん?」 「そうよ、月海が来た日があったでしょ?あの日に渡されたんだけど…」 どこに置いたっけ?と悩み出す。 ホントに忘れてるっぽいけど、忘れるほど些細なことじゃないと思いますよ? 「帰って探す?」 反対側に首を傾げ聞いてくるけど、イエスとしか言えないように仕向けてる? イヤ、このヒト、そんなこと計算してできるヒトじゃない。 思い出した、天然悪魔だった。 「……一応、探しましょうか」 使うかは別として。 きっと使うことはない。 「じゃ、帰ろ」 言って立ち上がるその両手に大量のマンガ。 持って帰るんですね… 「持ちますよ」 「ありがと」 半分受け取るけど、コレ、けっこう重い。 この間もこのくらいの量だった気がする。 コレはさぞかし重かったことだろうな。 「用事できたから帰る」 リビングに少しだけ顔を出し、それだけ言うとそそくさと玄関へ。 「すみません慌ただしくて。また伺わせてもらいますね」 「お父さんのいる時にまたぜひいらしてね」 …ソレはエンリョしたい… それにしても急な訪問、急な帰宅なのに親子でえらい違いだ。 これがあげはさんなら、ぜったい機嫌が悪くなるはず。 そんなあげはさんはもうすでに玄関の外。 「では、お邪魔しました」
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