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「婚姻届って何」
率直に聞けば顔を上げて、キョトンとしてる。
イヤ、そこでそんなカワイイ顔されてもね?
「──あぁ、どこ置いたっけ?」
首を傾げるあげはさんの前に座り、持っているマンガを取り上げる。
「あ!」
「あげはさん?俺にも係わることはちゃんと言ってくんない?」
ニッコリと笑って言えば、なぜか不貞腐れた表情。
ソレはこっちがする表情だよ。
「だって…月海が来るから」
「つぐ、みさん?」
「そうよ、月海が来た日があったでしょ?あの日に渡されたんだけど…」
どこに置いたっけ?と悩み出す。
ホントに忘れてるっぽいけど、忘れるほど些細なことじゃないと思いますよ?
「帰って探す?」
反対側に首を傾げ聞いてくるけど、イエスとしか言えないように仕向けてる?
イヤ、このヒト、そんなこと計算してできるヒトじゃない。
思い出した、天然悪魔だった。
「……一応、探しましょうか」
使うかは別として。
きっと使うことはない。
「じゃ、帰ろ」
言って立ち上がるその両手に大量のマンガ。
持って帰るんですね…
「持ちますよ」
「ありがと」
半分受け取るけど、コレ、けっこう重い。
この間もこのくらいの量だった気がする。
コレはさぞかし重かったことだろうな。
「用事できたから帰る」
リビングに少しだけ顔を出し、それだけ言うとそそくさと玄関へ。
「すみません慌ただしくて。また伺わせてもらいますね」
「お父さんのいる時にまたぜひいらしてね」
…ソレはエンリョしたい…
それにしても急な訪問、急な帰宅なのに親子でえらい違いだ。
これがあげはさんなら、ぜったい機嫌が悪くなるはず。
そんなあげはさんはもうすでに玄関の外。
「では、お邪魔しました」
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