living.7

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「あった~」 実家から帰ってすぐ、前に渡された婚姻届を探していた。 たぶん、前に持って帰ったマンガの山のどこかにあると思って。 余っているもう一部屋を雷の承諾も得ず、勝手にマンガ部屋にしているのに、雷は何も言わない。 探し物は案外すぐに見つかって。 「……あ、あった?」 反応の遅い雷は一緒に探し始めたはずが、少女マンガを食い入るように読んでいる。 うん、でも、そのマンガはオススメよ。 「はい、こちら、婚姻届でございます」 「ぅわ~…ホンモノ、だ」 受け取ったソレに対してその反応はなんなんだろう。 自分で取りに行ったわけじゃないとそんな感じなのかな。 よくわからなくて首を傾げれば、今度は薄っぺらい紙の一部を指差し引きつった表情を浮かべる。 「なぁに?」 「…なんで、証人の欄が…?」 母親と雷のお母さんの名前がそこにはあって。 ここにあたし達を連れて来たあと、ニ人で取りに行ったんだろう。 「あぁ、いつ出してもいいように、だそうよ」 やっぱりそこ納得いかないわよね、嬉々として書いただろう顔が浮かぶけど。 ニ人ともそんなつもりはいっさいないのに。 ない…よね? なんだかジーッと見つめてるけれど。 困ったような感じじゃない。 「あげはさん…」 「んー?」 「これ、いっそ出しちゃいます?」 雷の爆弾発言に、持っていたマンガがバサバサと音を立てて落ちた。 …あぁ、あたしのマンガ達… 「──っはぁ?」 というか、何を言ってるんだ、こいつは。 「はぁっ?」 「あ、ニ回も言う?」 もう一回言ってやろうか。
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