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「仕事ってそんなに早く見つかるもの?」
「ヤ、あたしもゆっくり探すつもりだったよ」
眉を寄せ、なぜか雷が苦難の表情を浮かべる。
「ソレっていかがわしい仕事…とか?」
きっと、心配してくれてのお言葉。
だけど今のあたしには、心配してくれるその言葉がウソかホントかなんてわかんない。
「ちっがうわよ。個人で経営してる雑貨屋」
「なんで雑貨屋?」
「七夕の…あ、親友の紹介」
「…な、ゆさん?」
「そ、この間月海がワイワイ言ってたでしょ」
あ~、とうなずく雷は、そこら辺のことは覚えてるよう。
まぁ、あんな強烈なの、なかなか忘れられないわよね。
初対面の人間の前でおもいっきり愚痴ってたし、しかも月海を怒らせてたし。
「そうなんだ、じゃあ、がんばって?」
「え、めんどくさい」
即座に言い返せば苦笑いを浮かべて。
がんばるわよ、テキドにね。
でも別にそれは言うつもりはないけど。
「さて、今日も食材はありません。お夕飯なんにする?」
「買い物?」
「うん、行ってくる」
今日帰って来るってわかってたなら、昨日もうちょっと買ってきたのに。
全く、イヤになる職業ね。
だから連絡欲しかったのよ。
「俺も一緒に行こうか?」
…こういう発言をしてくるヤツは、自分の人気度をわかってらっしゃらない。
イヤ、わかってるかもだけど。
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