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「……あんた、あたしのことなんだと思ってんの?」
「言っていいんですか?」
睨んだままに聞けば、聞き返してきやがる。
ハラ立つから何も言わずにジッと見ていれば──
「アニメオタク」
ヤツは笑顔で爆弾投下。
「…………ちっがうわー!」
あたしの絶叫とともに、なんとも小気味いいパシーンっという音が響いた。
さすがにヤツもここで、こんなところで平手されると思ってなかったらしく、赤くなる左頬を押さえて目をパチクリさせる。
「アニオタと呼ばれる言われはない!」
「資料にはアニメが大好きって書いてましたよ。三十にもなってどんな趣味してるんだろとは思いましたけど」
「一言以上余計!一昔前のアニメは見てたさ!けど今のアニメはひとっつも見てないよ!あたしはマンガが好きなだけ!」
言い切ると頭がクラ~っとなった。
…そうだった、帯がキツくてヤバい状態だったことを思い出す。
未だ近い距離にいるヤツの服を掴んで倒れないように意識を保とうとするけれど。
ヤバいんだって。
今叫んだせいなのか知らないけど、頭に酸素回ってないっぽい。
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