1066人が本棚に入れています
本棚に追加
「あら、早起きね」
「……ん~、寝るつもりだったんだけど」
「目が覚めちゃったんだ」
リビングの全開になっている窓の向こう…ベランダから楽しそうな声。
なんで楽しそう?
欠伸をしながらそこに行けば、真夏の陽射しが眩しい中で洗濯物を干している姿。
俺がベランダに出たことに気づいてフワリと笑う。
無意識だろうソレにまだ動いていなかった頭がおもいっきり覚醒。
「明日、雷のシーツ洗わせて」
「勝手に部屋に入っていいのに」
「そう?まぁ、掃除はしないから」
「そういえば仕事は?」
干し終わってカゴを持ち部屋に入りながら中を指差す。
その先にあるのは時計。
ハ時二十五分。
「仕事は十時からよ、昨日言ったでしょ」
「あー、うん、聞いた気がする」
違うこと考えてたからなぁ。
てか、ギリギリまで寝るヒトかと思ってたよ。
「朝ご飯食べる?今から作るけど」
全てをめんどくさがるくせに、家事に手は抜かない。
俺と同居する前はカジテツだっけ?
してたからできるんだろうけど。
でも別に手を抜いたところで文句なんか言わないし、まず気づかないと思う。
「うん、食べる」
朝は和食だという俺のために地味に嫌味を言いながら作ってくれた。
あげはさんは洋食らしい。
今日は俺に合わせてご飯とみそ汁、魚はなかったからそこは仕方なくベーコンエッグで。
文句を言いながらでもソツなくこなすのに、なんでお見合いなんかしてたんだろう。
だってこのヒト、どこでもモテそうだし。
……不思議だ。
最初のコメントを投稿しよう!