1066人が本棚に入れています
本棚に追加
「テレビなんか見ないわよ」
「え~?じゃあ、なんで~?」
「……コレ、見合い相手デス」
コレって言われると思わなかったよ…
目の前にいるのに指ささなくてもよくないかな…
『五十嵐雷が?』
「間違いなく」
めんどくさそうにうなずいて、再び俺に恐怖の視線。
「そうです、見合い以降あげはさんとは親しくさせてもらってます」
とは言ったものの、一緒に住んでることは…
「あ、一緒に住んでるダンナさん?」
……知ってたんだ……
「イヤ、ダンナじゃないし」
否定するあげはさんは心底イヤそう。
けどソレ以上言わないのは、もうすでにめんどくさくなってるんだろうな。
「同居?同居?」
「はい、そうですね」
「楽しそう」
男のヒトにニッコリ笑顔で言われるけど、そもそも俺ほぼ家にいないから楽しいのかわからない。
あげはさん意外とそういう感情出してないっぽくて。
だからというわけではないけれど、苦笑いを浮かべることしかできなかった。
楽しそうと言われて、楽しいとも楽しくないとも言えない。
ソレが少し悲しく思える感じが。
「で?」
再び変わらない視線で短く同じ質問をされ、交わせそうにもなくて小さくため息一つ。
「ヒマだったから、つい」
そう言えば呆れた表情を見せ、ふっか~いため息をつかれた。
「ねぇねぇ、なんでお見合いなんかしたの?」
百八十度くらい違う素朴な疑問にそちらを見れば、嬉々とした七夕さんの目。
ここに来て初めてソレを聞かれたけど、普通ならもっと早くにあげはさんに聞かれなければいけない質問のような気がする。
まぁ、あげはさんの性格からして、そんなこと聞きそうにないけれども。
最初のコメントを投稿しよう!