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「母には逆らえませんので」
実際はめちゃくちゃ脅されて渋々行ったんだけど。
仕事できなくしてやろうか…とか言われたら、誰だって行くしかないと思う。
普通、母親が言うセリフじゃないよ…
「あげはちゃんは?」
「……一番の原因はアンタと月海」
「え~?なんで?」
「アナタ方が早くから結婚なんてするから、ウチのご両親は密かに焦っていらっしゃるのよ」
こめかみピクピクしてるし。
たぶん、今までそういう話いっぱい聞いてきたんだろう。
三十路でいっさい言われないなんてことはないと思うし。
だって、俺ですら言われるくらいだ。
特に母親に。
「……もう、アンタ達仕事の邪魔」
「邪魔しに来たつもりはないんだけど」
ホントに、ただチラッと見て帰る予定だったハズなのに。
そう返せば、もう鬼としか言えない形相で睨んでくる。
「こわっ!」
「怖くて結構、帰っておとなしくしてなさい。七夕は検診に早く行け」
昨日から全然あげはさんに逆らえる気がしない。
なんか、ウチの母親と話してる気分。
に、なるからだろうか…
「…わかった、おとなしく帰ってふて寝する」
「あー、ハイハイ、なんでもしてなさい」
ふて寝ってところをつっこんでほしかったのに…
「七夕、あげはちゃんも怖いから、検診終わっても来ちゃダメよ?」
人差し指立てて言ってるソレはホントだろう。
このヒトも昔から知ってるんだろうか?
ソレが少し、羨ましい…
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