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「いいなぁ、あげはちゃんのオムライス、あたしも食べたい」
「七夕は月海に作ってもらえ」
今まで掴まれていた胸倉がやっと解放されたかと思うと、今度は目の前ででっかいため息をつかれた。
「オムライス、ダメ?」
「あげはちゃんの作るオムライス、めちゃくちゃおいしいの」
頬に手をあてソレを思い出してるらしい七夕さんはウットリとした表情。
「ハードル上げるのやめてくれる?」
「ヤ、でも俺、あげはさんの料理どれもおいしくてスキだけど」
正直な感想を述べれば、またため息。
「あー、ハイハイ、それはどうもありがとうございます」
「ダメなら別の考えるけど」
「いーわよソレで。あー…買い物して帰るのめんどくさい」
どうやらため息の理由はソレのようで。
オムライスに何かあるのかと思ってしまったけど、関係なかったみたいだ。
相変わらず掴めないヒト。
「さっさと帰ってふて寝でもしてなさい」
「はい、ふて寝してます」
きっとあげはさんのスキなマンガだったら、涙流して返事をするシーンなんだろう。
現実にはそんなことムリだけど。
「五十嵐雷がふて寝…」
「周さん、コレもただの人間ですからね?」
「またコレって言われた…」
気のせいじゃないくらい扱いが雑だ。
でもなぜか悪い気がしないのはなぜだろう。
強制的な感じで店を追い出され、このあとの予定なんかもちろんないからおとなしく帰るしかなくて。
で、帰って来てもやっぱりすることはないから、ホントに寝ることにした。
ふて寝ではないけれど。
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