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見送って頭をガシガシ掻きながらリビングに戻る。
テーブルの上、“バーカ”とケチャップで書かれているオムライス。
きっとこれは洗濯物を入れなかった俺への当てつけ。
それだけのことなのに、しかもバカにされてるのに、自然と笑みがこぼれる。
ソレに気づいて少し戸惑いを覚えるけれど。
自分の心の変化が、どこかもどかしい。
「いただきます」
一人で食べることに慣れているハズなのに、ココが広いせいなのか…なんか寂しく思えて。
あげはさんはいつもこんな感じなんだろうか。
ソレを思うと、少しだけ胸が絞めつけられた。
俺がいる時はいつもあげはさんがいるからこんな思いしなかったけれど、あげはさんは違う。
ほとんど一人なんだ。
だけど、そんな思いはさせたくない、なんて口が裂けても言えない。
不規則な仕事だから。
「あー…美味いのに美味くない」
考えたくないとか思ってるのに、一人でいると思考はソッチにばかりなって。
たぶん気づいてない時も考えてるハズなんだ。
ペロリと平らげれる量なのに、半分ほどで手が止まる。
楽しくない、な……
そして、時間が過ぎるのも、遅い。
……あぁ、ダメだ、何を考えてるのかすらわからなくなってきた。
考えないようにしようとすればするほど、そういうことばっかりになってしまう。
「どうしたものか…」
部屋中に自分の独り言が響いている気がして、なんだかすっごく虚しい。
これは、うん、ダメだな。
残りを食べて風呂に行こう。
そうしよう。
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