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「それで最近必ず帰って来てたの?」
「うん」
「…バカね」
ホント、バカなんだから。
そんなことに気を遣わなくていいのに。
「そうかな?あんな気分を味わうくらいならムリしてでも帰って来るよ」
「そんなに寂しかったの?」
不思議に首を傾げ聞けば苦笑い。
「俺はこの家で一人になるの初めてだったから」
「でもあたし、気にしてないんだけど」
「なんで?」
食べ終わって、ごちそうさまの手のまま訝しげに聞いてくる。
「なんでって言われてもここに来た時からそうなんだから、いちいち気にしてたらウツになるわ」
答えればなんとも言えない表情。
雷って、意外と他人のことを気にするヒトだったんだ。
他人に興味ナシなのかと。
勝手に思ってました。
こうやって話をしないとわからないんだね。
「なんか…ごめんなさい」
「謝られる理由がわかりませんが」
ホント、なんでこんなに謝ってくるの?
申し訳なさそうな顔をして。
何かやましいことでもしてんのかしら。
「遊びとか他のヒトのとこに行ってたとかそういうわけじゃないんでしょ?不規則な仕事してるんだから帰れなくても仕方ないじゃない」
そんなことにいちいち文句を言うほど、こっちはもう子供じゃないんだよ。
それに彼氏でもなんでもないから、そこまでっていうか。
「確かに仕事だけど、そんなの言い訳にしかならないから」
……このヒト、どうしたいの?
だんだんめんどくさくなってきた。
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