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「これは俺が勝手にやってること」
だから、気にするな、と。
でもね、そんなこと聞いちゃったら気になるわけですよ。
そこんとこわかってんのかしらね?
ぜったいわかってないんだろうな。
「……勝手にしてくれて構わないから、いちいち謝らないで」
帰れないからって謝られても、こっちが逆に気を遣うだけよ。
あたし別に、毎日帰って来てなんて言わないもの。
一人の時間かなりスキだし。
「めんどくさくなってる?」
「よくわかってるじゃない」
ウソを言ったところで得にもならないから肯定して、ごちそうさまと手を合わせる。
雷が食べるの早いんだもの、結局一人で食べてる感じだわ。
あ、でも、こういう時間はスキかも。
食べ終わっても席を立たず、こっちが食べ終わるのを待っててくれる。
これは無意識の優しさかしら。
「あげはさんって、ホントなんでもめんどくさがるね」
「たまに生きてることもめんどくさくなるわよ」
「えぇ?それってヤバくない?」
優しく、でも楽しそうに笑ってくれるから、こんなことも笑いながら言える。
「ヤバいかもね」
今は…大丈夫、だから。
「今日は俺が洗う」
食器を片づけていれば、一生聞くことはないだろうと思ってた言葉が耳に届く。
「え、いいよ、ゆっくりしてて」
「俺が洗うんです~」
食器を奪われるなんて初めての経験。
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