living.9

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さっきの話の影響か何かだろうか。 あたしにめんどくさいことをさせない気? 別にめんどくても、必要なことならするんだけど、ね? 「明日からいないから親孝行ならぬ、あげはさん孝行?」 「変な言葉作らないで」 でもまぁ、してくれると言うのならやってもらおう。 キッチン、あたしの城ってわけでもないし。 そんなこだわりもないしね。 「じゃあ、お風呂洗ってくる」 「あげはさん」 手持ちぶさたでお風呂に行こうとすれば、キッチンから手招きされる。 やっぱりやめた、とか? 「なに?やっぱり変わる?」 「ヤ、すぐ終わる。じゃなくて、あげはさんは今日はゆっくりするんです」 「するんですって、なんで?」 確かにニ人分なんてすぐに洗い終わるけど。 え?どゆこと? 不思議に思って首を傾げていれば、にっこりと笑顔を見せてくる。 「あげはさんが毎日してること、今日は俺がするから」 「…まぁ、どういう心境の変化?」 言っちゃなんだけど家のことなんて、たとえ何があろうとしないヒトだと思ってた。 「…あのさ、俺だってやる時はやるんだよ?必要に応じて」 「あぁ、そういえば一緒に住む前は一人で暮らしてたんだったね」 話してる間に洗い物は終わって、目の前で子供みたいな笑顔。 いつもオトしてやる、みたいな不敵な笑みを見てたからなんだか新鮮。 役者だし?いろんな表情できなきゃダメよね。
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