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「お風呂も俺が洗うから、あげはさんは座ってて」
「じゃあ…お願いします」
こんな日は二度と来ないかもしれないから、今日はお言葉に甘えておくことにしとく。
ソファーに座って普段見ることのないテレビをつけてみるけれど、やっぱりというかなんだか落ち着かない。
実家にいた頃は部屋からあまり出ることはなかったけども。
今の全て自分がやる生活スタイルにだいぶ慣れてきてたから、こういう時どうすればいいかわかんない。
何か他にすることはないかと探してしまう。
結局、テレビなんか見てなくて、ヒマを持て余すあまり雷のいるお風呂場へ。
ドアは開いていて中に入ると、鼻歌なんか歌っちゃって楽しそうですこと。
「あれ?どした?」
湯船を泡だらけにして、しかもその泡を身体中につけて。
テレビの五十嵐雷はどこへやら。
「楽しい?」
クスクスと笑いながら聞けば、無邪気に笑ってうなずく。
今の雷はどこをどう見ても、頼まれたお手伝いを一生懸命する子供みたいで。
見てるこっちまで笑顔になる、そんな笑顔。
「あげはさん、俺何かに目覚めそうな気がする!」
「お風呂掃除で何に目覚めるの」
「なんか生きがいって言うの?感じてる気がする!」
スポンジをギュウっと握りしめ目を輝かせてるけど、ソレに生きがいを感じても…
しかも握りしめたりするから、無事だったところまで泡だらけにしちゃって。
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