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「気がするだけでしょ。まぁ、すっごい楽しそうだけどさ」
「なんか、楽しい!」
……なんか、なんだ。
「でもソレ、毎日してると生きがいも何も感じなくなるわよ。めったにしないことだからそう思うだけで」
「あげはさん」
脱衣所のマットの上に座ってるあたしの前に、わざわざ移動してきて同じように座る。
もう完全に濡れちゃって。
「俺がいる時、これからは俺が風呂掃除やる」
「え、それって真剣な顔して言うこと?」
真面目な顔して何を言うのかと思えば。
どんだけコレにハマったの?
え?そんなに楽しいことだったっけ?
「できることは他人任せにするな、っていうのをちっちゃい時から母親に叩き込まれてるから」
「今までやらなかったのは?」
そう言われてすぐにつっこめば、苦笑いを浮かべて立ち上がる。
「そこは、ソレ、ホラ、あげはさんのしてること取っちゃダメかな、と」
「イヤ、別に取られたとか思わないけど」
きっと、ソレだって雷の見えない優しさからくるものなんだろう。
そうだと思うと自然と笑みがこぼれて。
「雷、ありがと」
「……どう、いたしまして……」
「あれ?顔が赤いよ?のぼせた?」
「イヤ、うん…まぁ、うん」
歯切れの悪い返事に首を傾げた。
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