14人が本棚に入れています
本棚に追加
「なかなか難しいね。他人に普通に好かれる、ということは」
色素が薄いしなやかな髪に、陶磁器のような肌。長く上向きに伸びた睫毛。薔薇色の唇。普通には好かれないが、異常に好かれることは多々あるようだ。
「そもそも、欠点というのはマイナスの要素だよね」
「まあ、そうだね」
欠点を「設定」することにした、と彼女が言い出したのは、高校の入学式の前日のことだった。
ファンやストーカーは、もういらない。
君以外にも、普通に接してくれる友人がほしい、と。
欠点が人を適度に魅力的に見せる、というのは確かにある話だと思った。しかしあえてつくらずとも、彼女に欠点のあることを僕は知っていたが、それについては黙っていた。
「かわいいはつくれても、欠点はつくれないのか……」
欠点をつくる方が、何となくあざとい気がするな、と思ったが。それも言わなかった。
最初のコメントを投稿しよう!