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今日は、僕・青木裕太の誕生日であり、人生初の彼女が家に来る日でもある。
彼女の名前は赤井姫華。容姿端麗・頭脳明晰、さらには性格も良い姫華が何故僕を好きになったのかは謎だ。
"ピーンポーン"
姫華だと思い、玄関を開けるが、そこにいたのはクラスメートの黒沢杏豆だった。
「黒沢?なんで…」
「勝手にごめんね」
恥ずかしそうに髪を耳にかける仕草を繰り返している。
「今日、誕生日だよね?これ…」
黒沢が差し出してきのは、可愛くラッピングされた僕への誕生日プレゼントだった。
「えっ、ありがとう!明日でも別によかったのに…」
「こーゆうのはちゃんとしたくて…バイバイっ!」
走っていってしまった。
良い奴だな…
***
プレゼントの中身は、アロマキャンドルとクッキーだった。
"ピーンポーン"
今度こそ、姫華だった。
「寒かったろ?入って」
「うん、ありがと」
姫華は、ピンクのワンピースに白いコートを着ていた。
「ワンピースで寒くないの?」
「ちょっと…でもお気に入りだから」
***
「ここが裕太くんのお部屋…」
姫華はキョロキョロと僕の部屋を見ている。
「そんなみるなよ…」
しばらく、他愛もない話をして盛り上がっていた。
「…ねえ」
突然、いつもとは違う声のトーンで僕を呼んだ。
「な…何?」
変な緊張感が走る。
「あれ、何?随分可愛くラッピングしてあるけど」
姫華が指差したのは、黒沢からもらったプレゼントだった。
「ああ、これ?クラスメートの黒沢杏豆って子が誕生日プレゼントでくれたんだ」
「捨てて」
「え?」
「捨てて!」
姫華は立ち上がり、僕に怒りをぶつけた。
「どうしたの?」
「黒沢杏豆って誰?そいつとはどんな関係?そいつは家に来たの?どうして私がいながらそんなゴミもらったの?ひどいよ!私はこんなに好きなのに…」
姫華は床に座りこんで泣いた。
「黒沢とは友達で、僕が好きなのは姫華だよ?」
「本当?」
姫華は上目遣いで僕を見上げた。
こんな状況だが、やっぱり可愛い…
「うん」
「よかった…」
ぎゅっと姫華と抱きあう。
その日、僕は彼女のちょっと怖い秘密を知った。
でも僕はそんな彼女の一面も含めてやっぱり彼女が好きだと思った。
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