記憶

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ーーティーンーー …ーーティーンーー… 重たい瞼を押し上げて、朝陽がカーテンの隙間から射し込むベットの上で夢の記憶を手繰り寄せる。 たまに見る夢。 音だけが切なく響く… 私、篠原花凛(しのはらかりん)26歳。 大手食品会社の流通部門に勤務している何処にでもいるOL。 配属部署は営業部。 営業事務として営業マンのサポート、お客様の応対、倉庫の入出庫管理が重。 毎日忙しい日々の中で充実しているし、やり甲斐も感じてる。 彼も一応いる。 一応と言うのは、私自身が恋愛に関して全く興味が無い。 「好き」の定義が解らないのだ。 心揺すぶられる事が無い。 ときめきも無い。 彼はそれでも良いと言い、友達と殆ど変わらない関係性のまま、休日に映画を見たり食事をしたり。 好きになってくれる迄待つと言ってくれている。 何度も交際を申し込まれて、何度も断り続けたが、彼の人柄の良さと紳士的な対応に根負けして了承し今に至る。 二人で居てもドキドキも無いし、トキメキも無い。 私はきっと何かが欠落してしまってるんだと思う。 ただ… あの音を聞くと… 夢の中で聞く音を思い出すと胸が締め付けられるような感情が沸き起こる… それが何故なのか 何の音なのか どんなに考えても解らないでいた。 image=501566957.jpg
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