記憶

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今日も忙しい業務を終えて、彼が待つ渋谷駅へ向かう。 彼も同業の営業職の為、私の帰宅時間に待ち合わせ時間を合わせてくれる。 渋谷駅の改札を出て、スラッと背の高い彼の後ろ姿を見つけ声を掛けた。 「光輝(コウキ)お待たせ。」 「花凛、お疲れ様。 俺も今着いたとこ、何食いたい?」 「う~ん…今日はサッパリしたのが 良いかな」 「オッケー じゃあベトナム料理とかどう?」 「あ~生春巻食べたいかも。」 そんないつもと変わらないやりとりをして歩き出した時、 ・・・ティーン… "え?" 思わず辺りを見回して何処から音がするのか確認した。 夢で聞こえてくる音と同じ音。 どんなに辺りを見回しても何処から音がしたのか、何の音だったのかも解らず立ち止まってしまった。 「花凛?どうした?」 「あっ 今の音何の音かなと思って。」 「音?何か音がしたか?」 「えっ?うん。何か金属?鈴みたいな鐘みたいな音しなかった?」 「ごめん。俺全然聞こえなかったわ。」 「…そう。」 この時は光輝に聞こえなかった事を深く考えもしなかった。
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