其之弐 気付いてみれば…

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「身体がホワホワしてる所為かな、明穂?」 「解らないけど…なんだか雪穂も綺麗」 湯船の中で正座する二人の顔が今までになく近い…ここまで近くで顔を見るのは初めてに近い、お風呂にいる所為か赤らむ顔が勝手な雰囲気を作り出す、明穂と雪穂は湯気に揺らぐ中、無意識に唇を重ねていた。 『雪穂…何だか雪穂の唇は柔らかくて暑い』 『明穂の唇ってこんなに柔らかいんだ…今まで知らなかった』 感じた事のない感覚が、二人の中のスイッチを押す様に変わった…離れた唇、見つめ合うその瞳はお互いに潤んでいる 「何か…変な感覚」 「私も…出よっか雪穂?」 「うん、上がろう…明穂」 二人はそう言ってお風呂を出た、何だかまだホワホワとして変な感覚がジンジンと残っている…雪穂が何時もと違う行動に出たのは脱衣所で着替えている時の事…何時もは下着の上下を着けるはずが、何故かブラだけを着けずノーブラのまま寝間着を着た。 「ちょ…雪穂、ブラ着けないの?」 「うん…何だか苦しくてさ、今日は着けたくない気分なの…別に明穂に見られるくらいだし、良いかな…って」 明穂はそう言う雪穂と違い、上下を身に付けていた…んだけど、何だか胸元が落ち着かない、雪穂の言う通り何時も以上に暑く思った。 「暑い…」 「ねっ!暑いでしょ?何だかチリチリするのよ」 「わかる気がする…確かにこの辺がチリチリ…」 「たまには外してみたら…明穂も」 「でも…何だか恥ずかしい様な恥ずかしくない様な…変な感じ」 そう言いながらも居るのは雪穂だけ…明穂もそれを外してみた…だけど、チリチリは収まらないし、雪穂を見ると何だかドキドキと心音が早くなる。 雪穂もそれは感じているのか、さっきから視線があちこちに泳いでいた。 「落ち着かないね…雪穂」 「うん、何だろう…明穂を見ていようとすると、こう…胸の辺りがチリチリして来るの」
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