其之壱 私は、貴女を…愛しています。

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「寒~い…」 「ほんとだねーっ…雪まで降り出すし」 窓側のボックス席に向き合って座ると店主はタイミング良くホットココアを2つ届け、二人に差し出した…軽く会釈を返す二人に再びにこやかな笑顔を返した店主はカウンターの向こうに帰っていった。 「取り敢えず飲もうよいっちゃん」 「そーね…しかし、良く降るわねぇ…雪」 「一週間後の卒業式大丈夫かな?」 「幾ら何でもそこまでは降らないよ…流石に」 一週間後の3月1日は3年間、二人が通った高校の卒業式が控えている。 こうやって制服姿でこの店に来るのもこれが最後になるかも知れない…そう思うと、何処か寂しい気持ちに苛まれる…更に拍車をかけるのは卒業後の二人の進路が別々で、みなっち言小湊麻衣は進学を機に実家を離れて女子寮に入る事が決まっている… 小学校以来10年近く時を共にしてきた一条舞はそれが何だか永遠の別れになる様な気がするのか少し気持ちがブルーになっていて今日は口数も何時もより少なく、話の合間にはボーっと外の雪景色ばかりを眺めてため息を零していた。 そんな姿を見ると、小湊麻衣は切なくなって仕方なく、自然と会話が途切れてしまう 「いっちゃん…」 「あ、うん…ごめん」 小湊麻衣は少し罪悪感を覚える、自分が違う所に…しかも、女子寮に行く事で一条舞を泣かせてしまうのでは無いかと。 思えばこれまでダブルまいは何時も一緒に居た…落ち込んだ時も病に倒れた時も、彼氏が出来た事も自分の事の様に喜び、失恋すれば一緒にその痛みを分かち合ってきた。 時にふざけあってキスを交わしたり、様々な事を何時も二人で…何だか思い出が走馬灯のようにみなっちの頭を過ぎり泣けてくる…とゆーか、涙が浮かぶ
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