其之壱 私は、貴女を…愛しています。

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お互いの名前を知って、何か運命の様な物を見た気がした、同じ『まい』この偶然が二人の思いを引きつけてる様な…そんな気さえしてしまう。 「ねぇ、みなっち?」 「んっ?どうしたの、いっちゃん?」 「私、解った気がするの…」 「私も何か解った気がする…」 そう、二人は今の気持ちを考えた…勿論、決めた事は仕方ない…仕方ないけど…お互いに思い合う二人を繋ぎ止めるのはたった一言。 『私は、貴方を愛しています!』 性別の枠を超え、それでもお互いを思い合える関係は、夫婦が持つ『愛』に似ている。 「そういう事なのかな?」 「そういう事だよ!」 置いてあるカバンをテーブルに衝立の様に立て見えなくする、その中で見つめ合う二人の顔は赤みを帯びてはいるがお互いの目を見つめ合っている 「ココでしちゃうの?」 「だって…しないと何か先に進めない気がする」 不意にブラインドが掛かり外の視線もガラス越しに映るかも知れない不安も拭われた、丁度、ブラインドを下げる時間とたまたま二人の気持ちが重なった事。 二人はマスターの所在を厨房に確認してから振り返り、そして唇を重ねた。 (これも、一つの形なのかもな…) 厨房で見て見ぬふりをしているマスターの顔が笑みに包まれた…。
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