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夏希が落ちついた後、俺達は近くの公園でジュースで失恋パーティーを開催することにした。
つか失恋なのか?これ。
落ち込む俺の背中を夏希がポンポンと優しく叩く。
「さっきは笑い過ぎてごめん」
「いいよ別に」
「でもね、あんたさ、自分自身が結構完璧だって知ってる?」
「なんだよそれ」
「顔も良くて頭も良くて運動神経抜群で、純で一途で素直、おまけに性格まで良いからクラスの人気者。嫌みなくらい完璧なんだよね」
「そんな完璧だったら今頃色んな女の子に告られてんだろ」
「あーー・・・・・・それ私のせいかも」
「?」
「ほら、あんたと私って仲良いじゃん?だから周りは私達が付き合ってるって思ってるみたい」
「まじ?」
俺は過去の失恋を走馬灯のように思い出した。
告白するたんびに「バカにしないで下さい!」って泣きながら怒られたのはそういうわけか。
当時は俺なんかに告白されて嫌すぎたんだとばっかり思ってた。
過去を思い出してまた落ち込む俺を夏希が下から覗きこむ。
「あんたの唯一の欠点教えてあげる」
なんだよ、もともと欠点だらけの俺は今更何を言われても凹まないぜ。
「美的感覚が壊滅的」
凹んだ。
「あのお兄ちゃんとお姉ちゃん、テレビに出てくる人みたいに綺麗だねぇ」
「本当ね、ああいうのを美男美女っていうのね」
少し離れたブランコでこんな親子の会話が聞こえた。
美男美女を見てみようと辺りを見回したが、公園には俺達とその親子しかいなく、何故か夏希に後頭部をはたかれる。
頭を擦る俺の横で夏希が小さく呟いた。
「でも好き」
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