第1章

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彼女は完璧だ。 顔は可愛いし、勉強もスポーツもできる。 しかも性格も良い。 いつもいろんな人に頼られている。 しかし、僕はそうなりたいとは思わない。 彼女の欠点に気づいているからだ。 そしてそれを彼女自身も気づいているのだろう。 彼女の周りにいる人は皆、彼女と友達であることを他人に自慢できる。 それほどまでに彼女は素晴らしいのだ。 彼女の美貌は男子を惹き付け、それは普通であれば女子から妬まれる原因になる。 ところが彼女の場合、女子たちは彼女の性格の良さゆえ、彼女に対して嫉妬の念を抱いて関わるなどありえない恥ずべき行為だというように感じるのか、女子の心理はわからないのでただの僕の予想だが、周りと衝突するようなことはない。 だが、一歩深くまで観察してみれば、性格の良さが伝わってくるその話し方は、完璧に理想的な回答をするため、話し相手は自分でも自覚していない程度だが退屈してしまっていることに気がつく。 そしてそれは男女、子供、老人、彼女と関わる誰もが陥ってしまっていることである。 完璧すぎることが彼女の欠点なのだ。 それゆえ彼女は孤独に陥りやすい。 さて、観察対象を彼女自身にした時、その欠点を彼女は自覚していることにも気がついた。 それでもなお人と関わろうとする彼女に、僕は愛しさを感じる。
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