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病弱なそいつは、いつもベッド脇の窓から外の光景を眺めていた。
「おう、今日も不元気か?」
いつもの文句に、そいつはいつものように儚げに振り返る。
本当にまったく持って、なにもかもがいつも通りだ。
「やあ……キミは今日も、元気そうだね」
「不元気っていう独自な言葉にツッコミはなしか?」
「いや……キミらしいな、って思ってさ」
そんな悲しげに笑うなよ。
「へっ……そうかよ」
俺は見ていられず、顔を逸らした。
泣きそうに、なってしまうだろうが。
俺はそのまま足元だけ見つめながら、そいつのベッドまで歩いていった。
リノリウムの固い床、消毒液のキツイ匂い、辛気臭い雰囲気。
ここに通い出してもう半年、すっかり慣れたものだった。
こんなこと、慣れたくねぇっつーのに。
早く出ろよ――
「佑、実際体調はどうなんだよ? ちったぁよくなってんのか?」
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