病弱、余命、チャラ男

2/6
前へ
/6ページ
次へ
 病弱なそいつは、いつもベッド脇の窓から外の光景を眺めていた。 「おう、今日も不元気か?」  いつもの文句に、そいつはいつものように儚げに振り返る。  本当にまったく持って、なにもかもがいつも通りだ。 「やあ……キミは今日も、元気そうだね」 「不元気っていう独自な言葉にツッコミはなしか?」 「いや……キミらしいな、って思ってさ」  そんな悲しげに笑うなよ。 「へっ……そうかよ」  俺は見ていられず、顔を逸らした。  泣きそうに、なってしまうだろうが。  俺はそのまま足元だけ見つめながら、そいつのベッドまで歩いていった。  リノリウムの固い床、消毒液のキツイ匂い、辛気臭い雰囲気。  ここに通い出してもう半年、すっかり慣れたものだった。  こんなこと、慣れたくねぇっつーのに。  早く出ろよ―― 「佑、実際体調はどうなんだよ? ちったぁよくなってんのか?」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加