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そんな切なげな声、出すなよ。
それに押されるように、俺はみたび顔を逸らした。
半年前の自分だったら信じられないだろう。
高校でも有名なチャラ男と呼ばれた俺が。
女好きと指差し笑われた俺が。
まさか、学校一女子に人気のある優男で一番接点のないと思われていた佑が、好きだなんて――な。
「佑……お前、さ」
「風が気持ちいいね、彰人……」
さっきと言ってる事が違ってる。
最初、そう思った。
だけどよく考えたら、そうじゃない。
冷たい、のは気持ち悪いとはいっていない。
佑の気持ちは、既に向こうに逝っている。
そう考えたら、堪らない気持ちになって――胸を掻き毟るように、ぐしゃぐしゃとシャツを掴んだ。
抱き締めたくて、血を吐きそうで、死にそうだった。
出来るなら代わってやりたかった。
「……佑、」
「彰人は、覚えておいてね……僕の、こと」
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