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轟音。
俺の身体も吹き飛ばされ、あまりの爆音に、耳の機能も一時的に麻痺した。
そして数十秒後。破壊の嵐が収まった後で、俺の目に飛び込んできたものは。
「まったくの無傷、かよ……。話に聞いてはいたけど、どんだけバケモノなんだ、こいつは……」
この世に存在する、ありとあらゆる魔術体系は試し尽くした。
俺が思いつく限りの、ありとあらゆる創意工夫も施した。
それでも、まるで何事もなかったかのように、【断絶の境界】は、ただそこに在りつづける。
「和泉(いずみ)君ならあるいは、とも思ったが、やはり駄目だったか……」
そう言うと、先生は、倒れている俺の手をとってくれた。
「すみません先生。やはり、並みの手段では傷一つつけられない、というのは事実のようです」
高校での俺のクラスの担任でもあり、個人的な魔術の師匠でもある先生は、ばつが悪そうな顔で告げる。
「どうか気に病まないでほしい。そもそも、生徒である君にこんなことを頼んでいること自体、筋違いな話なんだ。……分かっているだろうが、和泉君の魔術に関する能力は、いまや完全に僕を超えている。僕は、教師という立場を振りかざし、まぎれもなく天才と言っていい域にある君の才覚を、体よく利用しているだけに過ぎないんだ」
だから、私のことは好きなだけ軽蔑してもらって構わない。だが、自分を責めるのだけは止めてくれ、と。
先生は、俺に向かって滔々と語った。
「ありがとうございます。先生が、そこまで俺の力を評価してくださっているのは大変嬉しいです。……でも、だからこそ、俺はここで引く気はありません」
実のところ、【断絶の境界】を、この程度で壊せるとは思っていなかった。
だから、きちんと次の手は用意してある。
あの日交わした約束を、守るために。
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