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「こらーっ! おまえら、またいずみーをいじめてるなっ!」
「やべっ、りおんが来やがった! みんな逃げろっ!!」
それは、今からおよそ10年前の話。
「ほら、いずみーも、いつまでも泣いてないのっ!」
「ひっく、えぐっ。だ、だって、ぼくの"まりょくりょう"が少ないから……って」
「……ふーん。それで?」
「だから、"まじゅつ"もうまくつかえなくて……っ」
「ふんふん。で?」
「"まりょくりょう"はどりょくしてもふえないから、ぼくは、いっしょう"まじゅつし"のおちこぼれだって、みんなが」
「りおんぱーんち!」
「いたっ! り、りおんちゃん、いたいよっ! 何するのさ!」
「おとこのくせに、めめしいことゆうなっ!」
「え、ええっ!?」
「まりょくりょうがダメなら、ほかのなにかでつよくなればいいっ!」
「なにかって……そんなのあるの?」
「しらんっ!」
「え、えぇー……」
「だから、いずみーがそれを見つけて、だれよりもつよくなるまで、わたしがいずみーをまもってやる! そんで、いずみーがつよくなったら、わたしがピンチのとき、こんどはいずみーがたすけてくれればいい! これ、いっしょうのやくそくな!」
「う、うん……。わかったよ、りおんちゃん」
「ゆびきりげんまんっ!」
「げ……げんまん!」
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