1-02―――日常への回帰

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この男のクセに妙にあまったるい声は… 「静馬先輩か。いきなり会話に入らないで下さい」 モデルの様な歩き方を大袈裟にしながら、此方に近づいてくる男が一人 彼の名を、時任静馬という 一応恩人の一人だ。性格や性癖はともかく 「ふふん、愛しの人が側に居るというのに何故躊躇わねばならぬ!そう、それはもう誘蛾灯に群れる虫たちの様に!!」 「っ!兄さんに近付かないでください時任先輩!!あと例えが汚いです」 妙なテンションで僕に近づいてくる先輩を、小さな体で必死に阻む絆 頑張れ、兄の貞操はお前にかかっている! 「おやおや、妹君はお怒りか。今日は穏便に近寄ろうと思ったんだが」 「離れて会話してくれれば構いません。時任先輩は兄さんの半径10mは絶対不可侵です!」 「いや…別にそこまでしなくても」 「兄さんは黙ってて下さい!!」 助け舟を出そうとしたら、怒られてしまった まだあの時の事を気にしているのか 「まだあの時の事を気にしているのかい、なんともまぁ………ブラコン?あはは」 僕の思考をトレースした様に先輩は答えた …無駄があるが プチン 何かが切れた音がした うわっまたか!?
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