1-01―――目覚めの朝

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「あ―――おはよう、絆」 「おはようじゃないですよ兄さん」 呆れたのか疲れたのか、深い溜め息とともに肩をおとした 「せめて今日くらいは、早起きしてくれてるかと期待したんですけど」 「うん、見込み違いだったね」 「自分でいわないで下さいっ」 再び肩を怒らせ、息を荒げる絆 我が従兄妹ながら可愛らしいと思う 何故誰かと付き合わないのだろうか、と兄ながら心配をする まぁ……付き合うとかいいはじめたら、相手にケチつけるだろうけど もしや、百合の人? 「ほらほら、変な事を考えないでくださいっ。朝食出来てますよ?」 「うぇ、ばれてた」 「そんな遠い目で、ほえほえ~っとした顔してれば誰でもわかりますってば」 苦笑しながら、僕の部屋から出ようとドアに手をかけた 「そうそう、忘れてるかもしれませんからいいますけど、今日は―――」 「うん、入学式だよね」 言葉をさえぎって答えると、絆の眉がピクリと動いた 「知ってて寝坊していたんですか?」
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