1-01―――目覚めの朝

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あ―――やば 「もう一度だけ聞きます。大事な日だとわかってて、兄さんは、こんなにのんびりしてるんですか?」 まずい、ちょっとからかいすぎたかな 絆の手が、赤くなるほど握りしめられている 世間一般でいう所の握り拳だ 情けないことに、僕は力のあるほうでも、体が強いほうでもない 故に、女の子の拳でも容易にk.o.なわけで ようやく思考がクリアになってきた まずいぞ、これは 「えっと……絆?」 「なんでしょう、兄さん」 「その拳を弛めよう。暴力は何も生まない」 「私の気分が少し晴れます」 「きっと痛いぞ、主に僕が」 「そうですね、私も心が痛いです。だから一回で済ませてあげますね」 うわぁい、手につかないよ 仕方ない…こうなったらあれでいくか
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