1-01―――目覚めの朝

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リビングへと着くと、トーストの焼けた匂いがした 「あ、丁度焼けたところですよ」 「ありがと、ジャムだけでいいや。時間ないから」 「誰のせいですかだれの」 「叔父さんから連絡は?」 普段通りの会話をした後に、世界を放浪している父――つまり僕を引き取った叔父さんについて聞いてみた 「ないです。もう、あれほど一月に一度は連絡いれてっていってるのに」 「相変わらずだね」 古美術に関心のある叔父は、世界を旅して、いわく付きの品々を転売したり、コレクションをしている やしなって貰っている身でいうのもなんだが、もう少し僕達の事について――その……年頃の男女が、二人きりで生活する事について――考えて欲しいと言ったら 『ん~?――おお!透君もついにうちの絆と付き合うのか!!いゃぁ素晴らしい日だ。今日を家族の記念日に―――え?違う??だがなぁ透君、婚前交渉は良くないと思うんだがなぁ絆は喜ぶだろうが』 などと、訳のわからない会話になったので、途中で電話を切ってしまったのが丁度一月前…
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