第2章 ハイヒールの女

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「途中まで、乗せていってほしいって言われて…。」 運転手の話では、山道の途中で女性をひろったらしい。しかし、例のトンネル前で、その乗客は霧のように消え失せたとか…。 しかも、今度は新しいトンネルの前で…だ。タクシーでは、よくある幽霊話である。 そのうち、幽霊が乗るのはタクシーだけに限らなくなった。全く霊感のない会社員が、やはり同じ場所で知らずに乗せてしまった、という。 まだ小学生だった私には、それがどの辺りで起きた事なのか、全然見当がつかなかった。 それから10数年後、私は、今の主人と出会った。 「塩屋崎灯台まで、ドライブしない?」 ある時、主人の提案で、塩屋崎灯台までドライブがてら、夕食をとる事になった。 言うまでもない。豊間にある、塩屋崎灯台である。
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