第2章 ハイヒールの女

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3時頃だったため、まだ日は高かった。 が、もう秋。日没は早い。灯台を見てから、新舞子に向かうことにした。 季節は、すでに10月中旬に差し掛かろうとしている。そろそろ、薄手のコートが必要な時季だった。 私は助手席に身を沈め、次々に移り行く外の景色を眺めていた。 車内には、主人の好きな曲が流れている。 …と、その時。 車外から、カツカツカツ…。リズミカルに響く、ハイヒールの音が聞こえてきた。 見えたわけではないのに、なぜか私は、黒いハイヒールをイメージした。
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