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例えばね。例えばの話なんだけどさ。例えば、そう、寝て起きた時に視線を感じたりするのってあるじゃん。あれって気のせいっていうじゃん。
なあんか見られてる気がする。そこか曲者ってクローゼット開けたり引き出し開けたりするじゃん。ね? するじゃんね? あれあれ。気配があるとか思うじゃん。でも何にもなくてホラーな気分味わってブルーになるじゃん?
ボクゥの場合はね、目をね、開けたらね、そこに覗き込む女の姿が。幸せそうにボクゥに寄り添い笑顔を振り撒く見知った女の姿が。お揃いーね私たちぃお揃いーねあぁ幸せぇ。な状況な訳でね。なんか矢継ぎ早に五月雨式に発言してるけどね。うん。ちょっと漏らしてる。うん。
距離にしてPS3初期型本体くらいのところに顔があったの。だからボクゥは、おもいっきり今持てる全ての腹筋力を使っておはようございます!!してみたんだ。
こう、ね。めり込んで陥没するボクシングでの漫画描写や格闘漫画、不良漫画みたいにしてやろうとしたんだよ。うん。全力は惜しまなかったね。だって不審者だもん。うん。なんか見たことスッゴいある不審者だったもん。キュートで可愛い幼馴染に良く似た不審者だもん。ボクゥの可愛い幼馴染はヨダレなんか垂らさないもん。鍵もキチンと9個付けて窓も溶接したから入れないはずだもん。頑張った。うん。しねええええい。
「ふっ、残像よ」
空を切ったヘッドバットのせいで伸縮悪い折り畳まれないソファみたいなボクゥを余所に布団の中から声がした。恐る恐る掛け布団をめくろうと震えた手を伸ばした瞬間、凄まじい力で手を掴まれ、あまりの恐ろしさになんか天に祈りを捧げながらボクゥの意識はまた途絶えたんだとさ。
え、これホラーカテゴリーだった?
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