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その先生がこれまで見たことがないくらい真剣な顔で慶佑を見ている。
昼に呼び出された時はいつも通りだったのに。
緊張感の漂う空気に手がじっとりと汗ばむ。数秒の無言の後、先生は唐突に一枚の紙を差し出した。慶佑は素直にそれを受け取る。
見ると、一番上に入部届と書いてある。
・・・・・・え、入部届?
「・・・・・・あの、これは?」
どういうことだろう。てっきり数学のことで呼び出されたと思っていたのだが。
「いやー、助かったよ紅林。うちのクラスでまだ部活に入ってないのお前だけだったんだ」
いつの間にか笑顔に戻った先生は慶佑の肩を軽く叩いた。まだ思考が追いつかない慶佑は呆然としている。
「この学校、一年生は部活に入る決まりなんだよ。夏休みまでには全員どこかの部に入ってないといけないんだ」
まだ状況がのみ込めない。
「そこで、紅林くんには生物部に入ってもらいまーす」
「・・・・・・・・・・・・はい?」
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