プロローグ

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その頃、数少ないベビーブーム世代の生き残りとして、青年団の代表なぞを無理矢理務めさせられていたこのぼくも、街の調整及び旗振り役として、実行部隊となる重責任務が当てがわれ、駆り出させられる羽目になってしまった。 リアルイベントの名も、そのまんま、「消滅都市」だという。 アトランティスや、ムー大陸などの陰謀大好きなSFマニアなぞも取り込もうという話だったが、そもそもそんなマニアがいまどきどれ程いるのか、全く怪しいものである。 しかし、現実的な問題として、この街で生まれ育ち、骨を埋めたいと考えている以上、自分自身もこのまま見て見ぬ振りをしていく訳にはいかない。 何とかしてこのリアルイベントを成功させ、この街にかつての記憶に残っている頃の活気を取り戻してみたいと、願い始めていた。 こうして、ぼくたちの街を廃墟化して、沢山の人々を呼び戻そうという、まったく矛盾した両極端な企画がスタートした。
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