愛でる

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 僕は今日、意を決して長年想いを寄せていた彼女に告白をした。大学で同じ講義に出ているくらいの関係性から脱却していないにも関わらず、この気持ちを抑えきれなくなった僕は、やはりやっぱり予想通りに、あえなくあっけなく玉砕した。彼女の断り文句はこうだ。「好きな人、いえ、彼氏がいるので」と。  が、元々諦めの良い人間では無い僕が「それでも好きです。いえ、そもそも好きという気持ちにパートナーの有無など関係無いのです。恋人になってくれとは言いません。せめてお友達にしてください」と少々食い下がってみたところ、「では、私の家に来てください。それで諦めもつくでしょう」と言われ、首を捻りながらも素直に従って来た結果に出た僕の感想が「きみは、狂っている」だったのだ。  地方からうちの大学に通う彼女は、穴場的な古い住宅街の寂れた一戸建てを借りて住んでいた。親戚の資産なのだそうだが、買い手もつかずに放置されていた家であったらしい。赤茶けた瓦屋根と煤けた木板が良く言えば侘び寂びに通じているように見えなくも無いが、それはもう少し手入れをしないと無理そうだ。まずは枯渇によって枯葉の堆積している庭池と、そこらじゅうに蔓延る雑草をどうにかしなければ。
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