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『精神干渉魔法だな。』
先生が居なくなったのと同時にネコがポケットから身を出すと、俺に言った。
『人の心を覗けるだけでなく、そいつの理性……制御していた心や隠したい気持ちを引き出したり、つっついたりできる。桜はその魔法の使い手に抱えていたストレスを利用されたんだな。』
「人の心に干渉できる魔法なんてあるのか?」
『ああ……でも使えるやつなんて一握りくらいじゃねえか?人の心に触れるなんて魔法、健常者がつかったら狂っちまう。』
「この学園でそんな魔法が使える人なんて…」
「一人いたよな、師匠」
渕東は固く結んでいた唇を開くと、ネコに聞いてきた。ネコの返答を待たないまま喋り始めた
「庵城一葉(あんじょう ひとは)……あのカグヤの右腕だった奴。」
「カグヤの右腕?」
「そいつはまだ中等部ながら学年での決闘では負けなしの成績上位者だった。そいつは精神干渉魔法を使えるって噂もあったけどよ…。」
「じゃあ、その人を探せば…」
「いや、庵城一葉は今年の初めにカグヤと揃って退学した。あの事件がきっかけでな。居るわけがねえし、居たとしたら何のためにって話だ。」
『……』
「もしかしたら、カグヤがこの学園に復讐しようとか考えてるかもしれねーな。それならそいつがこの学園に浸入したのも合点がいく。」
「……カグヤがこの学園に復讐?でも、カグヤはトゥエールのヒーローみたいなもんじゃねえの?」
「俺は事情はよく知らねえけどさ…あのカグヤをヒーローとして見ていたやつなんて一部だと思うぜ。なんせ"あの事件"の犯人はカグヤなんだからよ。」
「そんな……」
『じゃあ、この騒動の根元にはカグヤと庵城一葉がいるってことで話を進めていいんだな?』
ネコと渕東はもうカグヤと庵城一葉を悪者として認識していた。
前条寺さんや藍沢さんはカグヤの話をしているとき、優しい目をしていた。助けられたと言っていた。そんな人が復讐をしにやってきたとは思えない、思いたくない。……でも、"あの事件"というのがキッカケで悪になってしまったとも考えられる。
カグヤは悪い奴なのか?KAGUYAと同一人物だとしたら俺が憧れたKAGUYAは悪者で、この学園の敵でもあるんだな……。
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