恋愛作法

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彼にあの日、なぜ私を選んだのかを聞いた。 社外でたまたま見かけた私はとても急いでいて、走っている途中で思いっきり転んだところをを見たのだと蓮見さんは言った。 うわぁ、アレ、見られてたんだ。 会社ではクールなキャラで通してるのに。 実はうっかりしているというのは私の最大の欠点であり、トップシークレットだった。 『伊藤さんはその時、近くを通った小学生と目が合うと、二人して大笑いしたんだ』 『……それで?』 『……それだけ。』 蓮見さんは、「人を好きになるのなんて、そんなものでしょ」と言った。 ……そうか。 私だって、あの、お世辞にも綺麗とは言えないけれど一生懸命食べる蓮見さんが可愛いと思ったんだよね。 完璧なテーブルマナーでフレンチを食べる彼だけを見たら、好きになっていなかったかもしれない。 まぁ、当然これからも彼の箸使いは要練習だけれど。 「他に何か欠点とか無いわけ?あの完璧な男には」 先輩の質問に私は少しだけ考えて「無いですね」と答えた。 先輩は悔しいのか羨ましいのか「くっそー」と叫んだけれど、ギャラリーはすでに耐性がついたのか、殆ど無反応だった。 「先輩、声が大きすぎます」 私は人差し指を口に当てる。 すると先輩の声が届いたのか、蓮見さんが此方に気づいて笑ったから、私はにっこりと微笑みを返した。 おわり
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