未必の故意

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──5月19日。 また週末がやって来た。 今日は小久保課長が私の歓迎会をするから空けておいてと言っていた日。 その課長は……いま会社にはいない。 今週は出張のはしごで、会社に戻って顔を見せたのは2回だけだった。 昨日の夕方に一旦帰社して、今日はまた別件で朝から日帰り出張らしい。 「蘭さん、明日のお店は駅の近くの小料理屋にしたから。19:00に駅前のバス停で待ち合わせよう。それじゃ明日はよろしく!」 他の課員には聞かれないようにこっそり私に告げると、慌ただしくまた出ていこうとする課長に尋ねた。 「あっ、あの、他のメンバーは?」 「ああ、ごめんそれは当日のお楽しみってことで!だから他言無用だよ。じゃ急ぐから」 何サプライズですか? そんなのいいのに…面倒な人だな課長って。 溜め息が溢れた。 駅近の小料理屋さんっていえば、"花里"だろうな。 昨日、佐伯主任にも連絡したから大丈夫だよね。
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